ちゃぶ台

えんぞうです。書いた小説など

だってひみつきちって・いったじゃん!・やくそくとちがう

『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』の話をしようとしたら秘密基地の話になってしまった!

 

個人的な思い出によって形成された秘密基地観でしゃべっているので、変なこと言ってるかもしれませんが、まあこれくらい個人的な感想の方が公開する価値もあろうと思い書きました。それは違うんじゃない?みたいなのがあれば面倒でなければ教えてください。

 

 

だんぜつが・いきいきと過ごす・よすが

秘密基地作ったことありますか?

僕は中学生くらいまで結構作ってました。記憶にあるだけで12個ですね。1年に1個は作っている。

この10個以上の秘密基地にはしょうもないものも入っていて、例えば友人宅の壁と塀の間に簡易的な屋根を敷いて椅子やテーブルを置いたものがある。友人宅から無限に食料を調達できたので無限時間居座ることが出来た。これはしょうもない秘密基地の中でもかなりマシで、LEGOブロック製の立方体(一辺20㎝程度)なんかも秘密基地認定をしている。非常に丈夫で踏んでも壊れなかったが、勿論僕自身が入ることが出来なかったので黄色いLEGO人形を分身として送り込んでいた。

しょうもないシリーズの中だと気に入っているのが、机の下の空間を椅子で蓋をしたもので、これは(実家が机などを処分してなければ)現存する最古の秘密基地である。椅子に覚えたばかりの字で「ひみつきち」と書く気合の入りようだったが油性マジックででっかく書いてしまったために母にひどく叱られた。小さい頃泣くほど叱られた後にもらえたアーモンド入りのチョコレートの味と一緒に覚えているので本物の記憶です。

 

しょうもない話はどうでもよかった、DIYの話です。いや秘密基地の話か。

 

4話より、完成したジョブ子の借間を眺める3人。

ここ、すごい良いですよね。アイテムの選び方や置き方、出来上がった後にのんびり眺めている三人。秘密基地感にあふれている。

宿主に断りを入れることなく好き勝手に侵略して後で怒られるの含めてものすごい秘密基地加点が出たので思わず「秘密基地じゃん!」と叫んでしまいました。

 

こうした形態の秘密基地は一般に長生きしない。叱られるので。

しかもこの後せるふちゃんの口から「秘密基地」という言葉がしっかり出てくるもんだから、たまりません。

 

「あ、ひみつきち…」

「秘密基地?」

「作りたいなって、木の上に!」

 

作りたいよなぁ木の上に秘密基地……ハックルベリー・フィンとかさ、憧れるじゃん。

僕もツリーハウス作りに参加したことがあるんですよ。子どもだけだと危ないので、大人の指導の下で。まあまあしっかりしたものが出来たので満足だったんですけど、やっぱり秘密基地感はないわけです。

「じゃあ秘密基地の秘密基地感はどこからくるんだろう」と考えたんですが、これは空間の”自分”の濃度からくるのかなと思いました。場所選び、そこに置く調度品、誰に存在を明かして誰を呼ぶ? そして作る上で誰にも配慮しないところとか……全部”自分”で出来ていて、ものすごく内に向いた空間を、広い世界から切り取って構築すること。もう世果てと言っていいかもしれないくらいの世界との断絶がある。

断絶があるから秘密が守られるのだし、安心して過ごせるし、また断絶は許されないので暴かれたり世界の修正力を受けたりします(勝手に土地を使ってしまって叱られる、など)。

それでいうと、ツリーハウスは100%自分の(あるいは自分たちの)ものでできた空間ではではないから、秘密基地感は湧いてこなかったのかなぁ……と。

 

だいすきな秘密基地とDIYって・あいしょうが・よさそう?

ここではDIYを「自分の作りたいものを自分で作る」くらいの意味としますが、DIYの中で秘密基地って言葉が出てきたときに「秘密基地作りって究極のDIYじゃん!」と思ったわけです。まあ究極かどうかは知らないけど、秘密基地作ろうと思ったら多少なりともDIYはする。

どちらかというと個人って性格が強いDIYは内向きの創作で、ここにいわゆる大量生産にはない”温かみ”があるのかなと。大量生産の品だって見た目にも機能にも、そして生産ラインに乗せるためにもたくさんの人間の工夫があるけれど、DIYはその工夫を個人が担った濃度が高い、という点で温度を感じやすいのかもしれない。

この個人の濃度ということを思うと、やはり秘密基地作りはDIY精神そのものじゃんという気がします。

 

どきどきわくわく・いっぱいあったのに…・ゆくえふめい

4話、登校中にツリーハウスを作ろうという提案を聞いたせるふ。

ツリーハウス作りと聞いた朝、どきどきわくわく、興奮が収まらない躍動感、小野寺蓮さん(ですよね?)のパーフェクト・カットです。僕にもこんな朝があり、そして授業中のノートは設計図(という意気込みで作った落書き)で埋め尽くされ、放課後ダッシュで教室を飛び出ていくのです。

 

 

しかしこの話数以降、このわくわくを感じることは少なくなっていきました。

DIY9話ではツリーハウスの材料が処理場に消えてしまい、10話ではその材料集めにDIY部員たちが走ります。解決法としては、町中から要らない材料を集めようというものでした。

ここでは町民たちの”善意”でもって材料が提供されます。秘密基地の原理原則で考えると、これらの材料で作られた秘密基地は材料提供者の居場所でもあります。

まあ言ってる意味は分からなくても、例えば壁を見たときに「ここの板はだれそれからもらったアレのアレだったなあ…」みたいな思いが頭をよぎるのは十分ありうるかなと思います。なんせ善意で提供してくれた材料なので『supported by ○○』がついてるわけですよ。そしてここにはあまり秘密基地感がありません。

そもそもツリーハウスを作る目的としては「部員獲得のための目立つ作品を作る」というものだったので、これがより大勢の居場所になりうる可能性を持って作られることには非常に納得がいきます。実際、せるふとぷりんとの思い出の詰まったベンチも材料として提供されていて、これはツリーハウスに組み込まれるわけですから、DIY部のツリーハウスはぷりんの居場所となり、そしてぷりんはこの話数でDIY部に合流します。

実現可能性の高い手段、地に足のついた話運びも本作の魅力であるので、こうした現実的な解決がなされることはしっかりとした強みです。

それに誤解していたのだけど、「ツリーハウスを作る」のであって秘密基地とは言ってなかったかもしれないね…………

 

だって秘密基地って・いったじゃん!・やくそくと違う

でも秘密基地って言ったじゃん!

DIY部4人の話としてはイイ……と思うものの、あまりワクワクはしないですね。

せるふちゃんのアイディアスケッチがバサバサ実現可能性で切られていったり、採用されたのは部員たちの出した欲しい要素だったりしたのも結構気になってしまった。

絵づくりがものすごく魅力的でわくわくするアニメなので、ここに感じていたものがものづくりのわくわくと重なる部分を楽しみにしていたから、やはり少し惜しいなという気持ちがあります。

 

あと11話でやっぱり秘密基地作りって言ってるじゃん!

 

だったらみせてもらおうじゃん・いっぱしのひみつきちと・ゆうものをな!

diy-anime.com

ついに“秘密基地”が完成した。せるふたちは、1学期の終業式の後、完成したばかりの秘密基地で、ささやかなお祝いをする。

 壁には隙間が空いていたり、床は少し傾いていたりと、出来は完璧ではない。それでもいい。仲間たちで、自分たちの力で、夢を作り上げたことに、皆、深い満足感に満ちている……。

 そして、夏休み。留学期間を終えたジョブ子は、せるふたちとの再会を誓い、アメリカに帰っていく。ぷりんはせるふを、DIY部へと誘う。ぷりんは、秘密基地にはまだ足りないものがあるといい、せるふとふたりだけで作業を始める……。

「秘密基地に足りないものがある」……? なるほどね……。

 

だそくだけど・いいたいこと・よんこくらい

  1. DIYって内向きの行為だから、大量生産/個人製作だったり最新技術/従来技術といった対比では輝き辛いんじゃないかな。もっと個人の工夫に焦点を当てて内VS内の対比にした方が好みだった
  2. もちろんこの対比をメインにしているわけではないことは分かってて、ここに橋を架けることが演出になってるんだよな。ぷりんはここを通って合流するのだ。
  3. これは実現可能性という点で却下されそうなんだけど、材料が足りない展開にしても「アイディアがあふれちゃって」足りなくなった方がカッコイイよな。
  4. 部室を材料にするのは非常にスマートだった。というか10話は部室解体とそのためのOB訪問の話になると思っていた。なぜなら居場所作りのためのツリーハウス作りだから。