今年はまるで言葉を覚えたての子供が本を読み漁るかのごとくアニメをみていました。何をみていても楽しかったです。
AOTY『ブルーイ』
2018年に制作されオーストラリアで放送、2020年に配信開始、日本でもテレ東では2024年にテレビ放送が開始されている全世界で大絶賛の大人気アニメ*1 『ブルーイ』のことをなぜ今になって語るのかというと、おれは今年の頭にできた単独枠で初めて見つけたからです。自分のアンテナの低さにはウンザリするばかりや。
ただまあ、日本でテレビ放送されてるのが今なんだから今のアニメとして語ることもできるでしょう。そんな感じでやっています。お願いします。なにとぞ。
さて。
『ブルーイ』はいま最も完成されているテレビアニメかもしれません。劇場編集版も見たのですがそっちもかなりよかったので映画部門でもノミネートしており……いや、脚本、背景、アニメーション、音楽とあらゆるセクションでの素晴らしい仕事があり、かつ、品質が極めて安定しているので他校生的AOTY総なめです。おめでとうございます。ここには全てがあります。
まず、スクリプトでもう完成されています。子供に向けた分かりやすくはっきりとしたテーマはしかし多彩であり、隅々まで行き届いた配慮があり、固くなく豊かに遊びがある。基本的に育児の様子が描かれるだけなのですが、幼いブルーイとビンゴがこの世界を理解し、そして自己を獲得していく過程がムチャクチャ丁寧に、正確に描かれるんですよ。しかも7分で。
本当にびっくりしますよ。プリキュアとか観てて思うんですが、育児を扱ったアニメってスゲーむずいんですよね。育児なんてもうすんごい重労働のリアルを見せられても辛いし、じゃあ幸せな部分とか可愛い部分だけ描けばいいかというとそれではペットにしか映らない。しかしブルーイは不快にならず、かといって削ぎ落としすぎず、育児のデフォルメが完璧です(まあ、俺には子供がいたことないので分かんないんですが……)。
遊びについても秀逸です。ブルーイでは、基本的にごっこ遊びという形でお話が展開していきます。エピソードで取り上げられるブルーイたちの視点や営みはジョー・ブラム監督の経験に基づいていて、やはり実話ベースだからこそ出る子供たちの自由な発想のおかしみは単純に楽しく、監督の観察眼の感度の高さに驚かされます。
また、この「ごっこ遊び」は、子どもたちが世界を獲得していく過程において極めて重要な役割を果たします。遊びにおける役割やルールの設定は、世界の小規模なモデルを構築することに他なりません。また、模倣することに限らず、現実世界とは異なるルールで遊びの中を生きることもできる。そうやって現実世界と相対化することで、現実における認識の基礎が作られていきます。行われているのは遊びによる「世界のデフォルメ」とでもいうべきものなので、エピソードの多彩さもそこから持ち出してくることができているのが強いですね。
そしてキャラクターたちはそれぞれ個性的な背景を持っていて、7分の間でかれらの生き生きとした交流が描かれ、その中で各々が生活の、犬生の、そして存在の気づきを得ていきます。 子供だけでなく育児に取り組む大人たちの描写も見事なところが人気を裏付けている大きな要素でしょう。バンディット(パパ)やチリ(ママ)はとても根気強くていい親たちですが、わりと頻繁に間違うし、育児に疲れていたりもします。
『ひつじいぬ』より。育児疲れによるヒリヒリした雰囲気が湛えられたシーン。 エプロンの汚れが効いてます。
7分間たっぷりとかれらの交流にフォーカスされる中で、かれらのパーソナリティは過度に説明されることがありません。言いづらいこと、言ったら本人が傷つくだろうことを、言葉を選びながら伝える。会話で語られずとも、かれらの為犬(いぬとなり)は察することができるし、そもそも察する機会を与えるということ自体に非常に高い価値があります。知育アニメですからね。
肝心のアニメーションはみやすく、楽しく、愛おしいです。2Dカットアウト(切り絵のような各パーツを動かすことでアニメーションをつける方法)で制作されているのですが、固さはほとんど感じられません。各キャラごとの芝居付け等の細かい部分にフォーカスすることで、切り絵特有の、リグが固定されることのぎこちなさを回避している……というそんな工夫は当たり前(ここの芝居がとにかく豊かで見どころです!)として、なんか身体捻る(切り絵で作られた身体を捻ることは不可能なため、普通に新しく作画する)し、カメラワークもつける(切り絵で作られた身体を別方向から撮ることは不可能なため、新しく作画する)し、シンプルにリッチですね。あと普通にレイアウトも強い。
加えて、色やコンポジットで乗せる処理での飾り方も最もいいバランスに整えられていて素晴らしいです。ブルーイはここぞというときの世界の美しさをバーーーンとプロップのアップによく託すんですが、そこでディティールを固めるときに素晴らしい働きをしてくれます。
詩性云々の話 でもホニャホニャと喋りましたが、強い映像はとにかく具象性、ディティールが大事だと思っています。焦点が絞られると、映っている要素の中から「この映像では何が大事なのだろう?」と探す必要がなくなり、「何を言いたいのか」「これを見ている主体は何を感じているか」の方に自然と集中するので、「これを見ている私」の話になるんですね。
そして、これらの品質がまるっと安定している、というのがテレビシリーズにとって非常に大事ですね。クオリティコントロールという言葉がありますが、これは本来カット単位でのリソースのイリとヌキを説明するような簡単な言葉ではなく、設計レベルから使われるべき言葉のはずです。ブルーイの優れた設計は優れたアイディアが最も良い形で出るようなコントロールを可能にしていて、驚くことに、全ての話数で、クオリティの低い回が存在しません(予算の規模がデカいというのもあるでしょうが……)。
子供向けと侮る層はさておき、『ちみも』とかが受け入れられていたところでも名前を見ないのはイマイチ納得がいきません。おれはアニメオタクにアニメとして『ブルーイ』をみてほしいよ……。
2025単話10選
そんなわけで、2025年のベストエピソードを上から10こ選ぼうと思うと、こうなってしまうのでした。
Copycat まねっこ
ブルーイって本気のアニメなんだ…と分からされた話数です。ブルーイが鳥が死んでしまった朝の出来事を再現して、死のままならなさを受け入れる……というエピソードなのですが、そのきっかけとなるのが、妹ビンゴが筋書きを無視して暴れだすという迸る生命なのです。
生死のともに分かち難いつながりが見事にブルーイの前に示される。そんな特別な朝が、最後、父バンディットの真似をいつのまにかやめていたことに気づく描写で印象付けられます。このアニメはこういう小さなひとり立ちを書くのがメ〜〜〜ッチャ上手いですね。邦題の「ま"ねっこ"」のセンスも光ります。
Asparagus まほうのアスパラガス
VIDEO youtu.be
屈指の人気エピソードですね。基本的にヒーラー家はみんなノリが良すぎるんですが、このエピソードでは動物の真似の仕上がりといい反応速度といい、マジで魔法にかかってるんじゃないか……?と疑ってしまうのも含めて楽しいエピソードです。冒頭でビンゴがイノシシじゃなくてこぶたがいい!と拒否していることで虚実のバランスの妙があるのもいい仕事をしています。
一応、どうぶつになったパパママビンゴの無軌道さでマナーの大切さを示しているんですけど、邦題で「まほうの」をつけたくなることに共感してしまうくらいの楽しさがとにかく魅力的です。オチのつけかたも技ありですよ。
家族をいぬに戻す儀式の様子
Dance Mode ダンスモード
言いたいことが言えずにもごもごしていると周りが勝手に気持ちを代弁してしまうつらさ。ましてや言語化がまだうまくできない幼児にとっては、それは日常よくあることなのでしょう。
ビンゴが遊びに集中しているうちに、パパにポテトを食べられてしまうところから始まるこのエピソードでは、音楽の流れているところでダンスモードをオンにされてしまうと、パパやママはその場で全力で踊らなければならないルールが敷かれます。
ビンゴが言いたいことがうまく言えずにいると、周りが「こうでしょ?」と勝手に気持ちを言葉にしてしまう。他人に操作されてしまうことについての話をふたつ同時にやる……というのは基本的な技術なのですが、最後の最後にダンスの解放感が待っているのがアニメとして見事ですよ。おもちゃのイエスノーボタンのどうでもよさや、それがただどうでもいいアイテムとして終わるのではなく「同時押し」みたいな使い方をしてくれるのも素晴らしい。
Favourite Thing おきにいりはなに?
この話数ではヒーラー家の夕食時、今日1日で起きた中でいちばんお気に入りの出来事を共有する「おきにいりはなに?ごっこ」の一幕がワンシチュエーション(ぼくの大好物なんですよ…)で描かれます。ささいな言い間違いのおかしさをお気に入りとして取り上げられたビンゴが機嫌を損ねてしまうのですが、ブルーイたちが笑わせて機嫌を直したり、機嫌がなおったことを指摘されてまた機嫌が悪くなったり、ころころとご機嫌と不機嫌を行ったり来たりする。団欒の最中、今まさに起きているこの感情の起伏、その豊かさはとうとう「”いまの”おきにいりはなに?ごっこ」に行き着く。「いまのおきにいりはなに?ごっこ」はそんなに盛り上がらず沈黙するシーンがあるのも素晴らしいですね。ワンシチュエーションならではの感動です。
Daddy Dropoff パパがおくっていくひ
ビンゴの友達、リラの「これは私の物語」という言葉から始まり、普段と違うぞ?と思わせる冒頭、しかしそこからは普段通りヒーラー家にカメラが向きます。この後もバンディットがブルーイとビンゴを学校に送っていく様子を描いていくので、内容としては直接リラが関わることはラストのラストまでありません。しかしそれでも、「リラの物語である」という宣言に偽りはありません。
バンディットからビンゴのちいさな思いやりに込められた、この話のメッセージがまるごとリラに伝わるのが泣けてきます。その伝え方として「ねじをまきまき(おまけにもういっかいまきまき!)」という本当に些細な「動き」を選んでいるのがまたこのアニメの巧みなところです。リラにネジを巻いてもらうことでビンゴは動くことができる、この容易い関わりかたの、なんと奇跡的なこと……!
Rug Island じゅうたんじま
「何かを何かに見立てること」は想像力の遊び場であり、ときにその強さの指標となったりもします。このエピソードをみれば、かつて子供だった私たちの世界をその力が支配していた頃、想像しさえすれば全てが手に入ったあの頃を思い出すことができるかもしれません。
大人が入ることを許されないじゅうたんじまでは、ペンを見立てることでバナナや槍、魚、そして火を作り出すことが可能……というか、そのようなスキルが求められます。想像力がなければこの子供の国では生きていけないのです。シビアですね。
大人の世界でもみくちゃにされこのじゅうたんじまに漂着したバンディット。その豊かな想像の技で滞在を許され、この想像の国の成立を脅かすものを追い返したりもする、立派な名誉子供です。
しかしそんなバンディットを呼ぶ声があります。このじゅうたんじまに一時身を寄せているだけで、大人である彼には帰らなければならない船があります。最後、島を旅立つバンディットに渡される、葉っぱに包まれた一本のペン。チリの「何をもらったの?」という問いに、バンディットは「全てだよ」と答えるのでした。
「全て」
ここで「全て」を見出すのはやはり親の視点だからこそで、これまで映されていた遊びのそれとはかなり質が違います。見立てる行為がペンに集中することで、このラストが情緒たっぷりになっている……子供と大人の視点それぞれを精密に描き出してみせるこのアニメの巧みさに満ちた瞬間です。
Bingo ビンゴとあそぼう!
OPがビンゴ版に差し代わるちょっとした工夫が嬉しい
ビンゴがはじめて意識的に「ひとりあそび」に挑むエピソード。チリが「ビンゴと遊んだらどう?」とビンゴにアドバイスをしていて、自意識の芽生えを感じさせるいい表現です。
ところがビンゴは、ひとりでの遊び方が思い付かず、何をやってもうまくいきません。広い世界にひとりほっぽり出されて、なんとなく仲間外れにされているような感じがしてしまいます。何を食べようか悩んでいたら冷蔵庫にも開きっぱなしだと注意される始末です(冷蔵庫とのバトルがまたかわいくて素晴らしい……)。
「わたしはれいぞうこにきらわれてる…」
ヒトがひとりで遊べるようになるときというのはとても特別な瞬間なのかもしれません。それはわたしとわたしでないものとの間にある壁と、そして壁越しに見える世界との付き合い方を考える機会です。ビンゴは自分だけの「おもしろい問題」を介して、世界と関わっていきます。
冷蔵庫の汚れの愛おしさよ。
持ち前の素直さで接するビンゴに、世界は自らを差し出します。冷蔵庫とも仲良くなれているのです。世界はこんなにも美しい。
Charades ジェスチャーゲーム
とっても孫に甘いおばあちゃんちに預けられたブルーイたち。「おばあちゃん、どうしてこのうちではアイスをたくさん食べていいの?」という質問(とてもいい質問)はさておかれて、ビンゴの提案により唐突にジェスチャーゲームが始まります。
ところが、まだ2〜3歳くらいの子もいて、「お題の絵が描かれているカードを他の人に見られないように引き、それをジェスチャーで表現する。他の人はジェスチャーを見てお題を当てる。」というルールを理解できず、ゲームを台無しにしてしまいます。
カエルのカードを引いたマフィンは、しかし「バレリーナのジェスチャーをやりたい」とルールガン無視のわがままを言います。おばあちゃんのうちでは「全員の願いを全部叶えてあげる」ことがルールなので、そのわがままを叶えてあげなければなりません。
もちろん、これではジェスチャーゲームが成立しません。マフィンのわがままを叶えてあげて、ゲームも成立させる……どちらもやるのがおばあちゃんちルールです。そこでビンゴは「わからないふりをしてあげる」ことを提案するのですが、しかしそれだけではきっと最善の結果とはなり得ませんでした。ラスト、「全員」がゲームに参加して初めて成立する瞬間の奇跡のひと押しが感動的な傑作エピソードです。
Sticky Gecko ぺったんヤモリ
ドアは!ここにあるというのに!
ただここを通って、出るだけなのに!
なんでできないの……!
これは多くの親が共感するセリフなのではないでしょうか。育児の上手くいかなさってこういうのの積み重ねですよね……親であったことはないはずのおれですらわかりすぎてしまったほどです。
さて、このエピソードもワンシチュエーションですね。お出かけ前の準備が遅々として進まない日の玄関の様子が描かれます。
冒頭
3分後
あと1分で家を出ないといけないというのにブルーイとビンゴはまったくいうことを聞いてくれません。どころか、ふたりが次から次にタスクを増やしていくので、チリがとうとうパンクしてしまう始末です。母親って大変だなぁ……いやほんとに……
「急いで待て」という作中の言葉の通り、育児では、いや育児に限らず人との関わりでは忍耐が大事です。なぜ家を出たがらないのかをブルーイが語ってくれるまでの時間を、ワンシチュエーションがバッチリ演出してくれる……ストーリーと形式が見事に噛み合ったエピソードです。余裕を取り戻したチリが、積もり積もったタスクを全てこなしてみせる爽快感で終わるのがナイスですよ。
Flat Pack こんぽうざい
『ネンネのじかん』など、たまにブルーイでは神話規模の話がくるんですが、これもそれです。 親がブランコを組み立てる時に出るおおきな梱包材を使って、子供達が海や火山など、さまざまなものに見立てながら遊ぶ。それが生物の、霊長の歴史を辿っているんですね。段ボールの洞窟、その壁画に描かれた階段の上の両親はまるで神のよう。親と子、神とヒトと、もうすでに構図がカッコよくキマりすぎている……
こんぽうざいの神殿
さらにこのごっこ遊びの中でも、姉ブルーイが親、妹ビンゴが子を演じています。
宇宙船を作り旅立っていくビンゴを見送ったブルーイ。ひとり取り残された彼女は、そんなふたりを「天国」で見守っていた父母のもとへ合流し、ビンゴを見守るのです。エピックですね。
そんなブルーイはディズニープラスで絶賛配信中!
日曜朝7時からテレ東で放送されてもいるよ!
ついでにしゃべりたいやつ
そうはいってもまあまあ見まくっていたので喋りたいアニメの1本や2本くらいあります。ので、飽きるまで喋ります。
オフィスラブコメ
『この会社に好きな人がいます』 、良かったかというと……いや、ちゃんと良かったと思います。オフィスラブコメってジャンルの良さを知るためのとっかかりになりました。ほどほどのディティールさえあればぜんぜん部活モノでいいんですよね。俺は労働をクソ舐めているため、真面目に働けよ!ともならなかったです。業種違うし。
むしろ、オフィスでこそガンガンメイクラブすべきなのかもしれませんね? 労働に生きがいを見出すのはやはり家族のためだったりするわけですし、あとはまあ、恋愛にも前向きな人が多いという偏見があります。ふたりとも経済的に自立しているのだから、なるようになるだろうという舐めもあります。俺は恋愛も舐めています。
そんな風に気楽な立場にあれば、ふたつのどうでも良さの見事な馴れ合いを見ることができました。進研ゼミの漫画みたいなやつですよね。労働して恋愛して人生を充実させる、そんな大変めんどいことをラブコメというジャンルでほんわかまとめている。
社内恋愛なんてそれに輪をかけてめんどいわけです。で、ちゃんと社内恋愛のめんどさ(作中ではスリルとして描かれていたが……)の美味しいところをよく調理していて、上質でした。序盤、メインカップルたちと対照的にあった染井後輩の距離の取り方を添えていたのもお気に入りです(例の如くラブに巻き込まれてしまったのが少し悲しかったです)。
失われつつも、アニメ市場が広がった今さらに求められている価値のような気もしていますし、今後ますます強くなっていくジャンルかもしれません。恐ろしいですね。
『不器用な先輩』 には『この好き』で掴んだオフィスラブコメの核心、そこの良さはほとんどないのですが、でもオフィスラブコメというジャンルでしか語れない良さというものもありました。鉄輪先輩の社会人というにはちょっと幼い感じを「かわいいな…」とチラッとでも思ってしまった……その責任を取らねばならないときもあります。社会人だからね。
かわいい
オフィスラブコメからはなかなか切り離せない”しごでき”属性、ツッコミどころしかよばない厄介な存在ですよね。鉄輪先輩もしごできで、それでいて不器用というのがおおまかな造形でした。厄介ですね。
その不器用さはやはり致命的にしごでき属性と相性が悪かったのですが、鉄輪先輩の魅力はそこに寄りかかっていなかったのが良いと思いました。彼女自身仕事ができると思ってなさそうというか、自分の精一杯で社会生活を足掻いている、そんな一生懸命さが魅力なのであり、タイトル通り不器用な先輩ということなのでしょう。
そんなもがく鉄輪先輩たちの生き様を表しているのではないかと深読みもできる、わちゃわちゃっとした作画の面白さもありつつ、しかしなんといっても度々挿まってくるムーディーな場面のすはらしさですよ。
5話『ぜんぶ台風のせいっちゃ』はそんな二人の距離感を堪能できる話数でした。台風という巨大エネルギーに振り回されるシチュエーションがなんか全部上手くまとめてましたね。他にも電車のとことか、帰ってから先輩が傘置くところとか、べったりとくっつきすぎない湿度ある描写に二人の関係の説明を託す意欲的な回です。
とくにここはかなりすごいと思います。ニュース番組が台風の様子を示すためによく傘をさすサラリーマンとかの映像を使うんですが、あれの面白さ、滑稽さを使う着眼点にまず巧みさがあるというか。人の営みのおかしみを使ってみせるのはコメディの本領発揮という感じがしますね。
コメディ
2025年のコメディのアニメといえば忘れてはいけない『妃教育から逃げたい私 』です。設定の苦々しさも真正面から喜劇として扱おうという頼もしさがありました。画面側のこちらに話しかけるようなギャグがあるのも演劇的で、弱点をつかれましたね。
こういう、横から映した画とかが頻繁に入ってくるんですよね。このかなり平坦なトーンだからこそ言動が主役になる感じが演劇っぽいし、そして動きの面白さで語るアニメでもあります。笑わそうと働きかけるのではなく、笑ってしまうような状況を描く。これは「笑っていいのかこれ…」というシチュエーションにも沿っているように思います。
テーブルを避けて窓際に駆け寄る
3話はこういった調度品の存在感がリッチな嬉しい話数でした。避ける動きのために急ぎつつも急ぎ切らない時間が生まれます。こういう余裕があるのがいいですよね。ここには品の良さ、動きのおかしみ、登場人物たちの情緒などなどなどいろいろ入ってくれます。
そう、この余裕が逆にレティシアの燻りをよく表現します。外側にあるなんだかよくわかっていない自由を目指そうとして内側でうろうろなんかやっている、そういう闘い方をしています。喜劇の余裕は、ただ笑わせるためだけのものではないんですね。クラークたちはしっかり反省してくださいね。
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『恋するワンピース』、 しっかりショート用の画角で作られてて珍しくて面白い……し、それ以上に作画が、テンションが、おもろいですよね。作画が話題になるアニメとして名を馳せているワンピースを元ネタにギャグをやる原作と、これにテンションの高い作画をぶつけるわけですから、正解でした。ショート形式じゃないやつもみたいなと思いました。
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いいOPですよね。板垣伸率いるミルパンセのアニメがわりと好きなんですが、まあちょっと暴れすぎなとこがあるよね……と、最近その暴れすぎな部分がいい感じに丸くなってきたのを感じてます。
振り付け自体の可愛さもさることながら、アニメになったときのぱたぱた感がいいアクセントです。
とくに長谷川千夏さんの仕事は、板垣さんのいい部分の翻訳とそこに足す繊細さが素晴らしいです。たのし〜!というテンション高めのアニメーションに情緒が足されて、地に着いた元気さ、生活の中の元気さという、今までわちゃわちゃしていただけのところに深みが出てきており、ほぼ無敵な感が出ていました。
女の子が可愛いかったこと
『カードファイト‼︎ヴァンガード Divinez』 、何をやりたいのかよくわからないですね。異常な長さでやってくぞと発表があった2年前は「何やるんだ…」という心配もありつつwill+Dressがそこそこ楽しかったなりの期待をしていたのですが、今や無理やり延命されているコンテンツという感触すらあります。
いや、このシーズンはなんといっても妹です。お兄ちゃんを助けるために妹が未来からやって来るんですが、今の妹もいるわけで、つまり「妹(年上)ー兄ー妹(年下)」という状況になるんですね。ここだけは素晴らしかった。
ただまあこれを擦りまくってくれるわけでもなく、ずっとふにゃっとしたカードファイトが続くので残念でした。ポテンシャルは、感じているのですが……
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うおおおおおおおおお!!!お兄ちゃんのデートを尾行する妹!!!!!!
3000000000000000000000億点!!!!!!!!!!!
VIDEO
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『Loop girls』に続く改リさんの現実背景にアニメの女の子コンテンツ。計算中が終わってから本格化しだした蓮やらVやらなんやらのつまみ食いをしている最中で見つけたもの。単発動画だし計算中枠ではないですが、アニメの女の子が動いている!という素朴な感動が強くありますよ。背景が動画なのがすごく良いです。
たぶん有史以来初のしっとりケーキ(チョコ)作画
編集の有り難さを感じたりもしたのでやはりちょっとだけ計算中枠かもしれません。
黒執事 -緑の魔女編-
2025年も最強は釘宮理恵でした。
ゲーセン少女と異文化交流
まあ、天城サリーさん熱烈応援の気持ちもあるんですけれども。それとは別に菊池聡延監督が仕事において何を大事にしているのかを掴めたのが嬉しくて、2025年の大切な一本になりました。
「風景を切り取る」というにはやわらかな感じ、絵としてのフレームを意識させない感じがありますよね。空気もそっくり画面の中に移すようなワザは『擬似ハーレム』でも光っていましたが、本作でもゲームセンターという”場所”の話ととてもよくハマっていたと思います。
時代を越えるゲーセン性
この見事な劇的でなさ、親しみ深さですよ。異文化交流と絡めて故郷の話をしていたこととも相性がよかったと思います。
ソシャゲ
もう当たり前のように毎週高品質アニメーションPVがバンバン出てくる時代になってしまった……
【崩壊:スターレイル】2ndアニバーサリー スペシャルアニメ「旅の途中で」
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FGOのやつでもう人類が到達できるとこまで到達してしまった感のあるシュウヒロマツを超えるのはやはりシュウヒロマツでした。お得意の物質的なゴージャスさと相性の良くなさそうなアニメアニメしたルックとをいったりきたりたまには一緒に描いてみたりと何度見てもすごいということしか分からない。意味不明です。すごいです。
『リバース:1999』Ver.2.5EP「お願いオフィサー」
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ソシャゲPV関連どころかインターネットのやつではいちばん好きだったかもしれません。英題の『ROCK SOLID』のほうが好きだったりするんですが、それがお願いオフィサーになる…というダサさ含めて良いと思います。デフォルメのシンプルさもめちゃくちゃ好みで、まるっこいデザインがとにかく可愛いですよね。香港映画ネタって楽しいとかっこいいが両立していて拾えなくても面白いからすげえやと思います。
Elden Ring Nightreign - Animated Series Opening
ソシャゲじゃないけど。
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個人制作のファンムービーでもとんでもないものが出てくる時代です。
エルデンリグナイトレインのアニメ性を語りた〜いという、そんな需要に応えてくれたのかなんなのか、ファンによって架空のアニメシリーズのOPが作られてしまいました。2025年はこんな感じで欲しいな〜と妄想したアニメがぽこぽこ来てしまうので怖かった。
とくに”シリーズ”作品のOPであるというところが気に入りました。セッションごとに異なるワールドでの、チーム全体のビルド構築なんて、シリーズ作品の単話で完結する構造そのものですよ。萌えキャラばっかだしほぼテレビアニメです。フロムソフトウェアさん、なんとかなりませんかね。アニメのセキロバカ売れしたらなんとかなるか? してくれ〜
アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】
毎回OPで泣いちゃいそうになるんですよね。
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ゲームのほうもやってるんですけど、おれソシャゲのテキスト読むのめちゃくちゃ苦手なんですよね。テキスト欄ちっちゃいし送り速度もちょうどいいところ見つけらんないし、てかテキストに集中したら絵みれないし。なんでストーリー派ソシャゲが流行っているのかが分からないぜ。
愚痴から始まって申し訳ありません。それほどアニメ化が待ち遠しかったんです。もちろん内容は細かいところでは削られていて、かんぺきにニュアンスを保持していたとは言えないらしいのですが、それでも魂とでもいうべき部分は強固に作り上げてくれました。1期の頃からの割と長いプロジェクトでしたが、渡邊監督の偉業といっても差し支えないでしょう。
とにかくキャラが多く、取捨選択が難しいため、ソシャゲのアニメ化はイマイチ上手く行かない印象があります。脂の乗ってきた中盤以降とかならまだしも、序盤などは舞台説明などに忙しく、ストーリー派をうたうソシャゲですらわたわたしてしまう。
アークナイツも同じ問題を抱えていたし、そしてわたわたしてもいたと思います。しかし、アークナイツには資本力と根気があり、そして描いているものが時代の求めるものでもありました。商業作品という枠組みの中でシリアスに社会問題を扱ってみせたバランス感覚は、2025年を代表する作品に相応しい出来だったと思います。
人が集まって作られる大きな意志とその衝突を描いているので、キャラ数の多さは大事でしたし、名前のあるキャラだけでなく名前のない人々を描く必要があります。アークナイツのアニメはネームドキャラたちに埋めることなく、この名前のない一人一人にちゃんと存在感があったのが素晴らしかったですよ。顔をかき分けるとか、名前を与えるとかそういうことじゃなく、意思を持った人々を映すことがすごくうまい。
ほとんどどの場面にも映る群衆
固く配列した意思
そしてアーミヤやチェンが彼らと対話を試みようとしている。その取り組みの忍耐強さが、キャラクターの意思、そして制作に関わる人たちの意思として、アニメという形になっていてグッときます。
羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来
他人に薦める2025年のみるべき1本を選べと言われたらこれですね。面白みのないチョイスになりますが、まあ圧倒的な仕上がりなので仕方ないです。
VIDEO youtu.be
お話もアニメーションもかんぺきなのに姉弟子・鹿野とかいう萌無双も持ち出してきた本作に隙はありません。
なんの関係もないけど筺底のエルピスがアニメ化するとしたら柩使い戦は小黒の領界みたいな感じになってチョー気持ちいはずなんですよね。そろそろ完結することだしトライガンを触媒にアニメ化してほしい……(でも作画でやってほしい……)
新・异常生物见闻录:序(2/28追記)
この新劇ぶりは本当に何?
『異常生物見聞録』というアニメが、結構大好きでして、そのなかのヴィヴィアンという吸血鬼(血族ですわ!)キャラは日常私の心にいるくらいの存在なのですが……なんとその新作が来ました。俺が根強く訴え続けていた異常生物見聞録2期を求める声が大陸まで届いたのでしょう。こっちでの放送が待てなかったので、ビリビリのユーチューブアカウントにて中国語版を視聴しました。
このエヴァぶりは本当に何?
異なる種族がひとつのアパートで同居するドタバタコメディ、『異常生物見聞録』が日本で放送された2020年は映画羅小黒戦記の1作目の吹き替え版が公開された年でもありました。ひとではないものたちが共生するというお話で、テーマもどこか似通っているそんな二つの作品が、ジェームズ・ガン『スーパーマン』が放映された2025年に再び出会ったことは偶然ではなかったのかもしれません。
ナディアみたいなやつがいるのもマジで本当に何?
そんなテーマは変わらずとも、しかし、1作目のような愛嬌は薄れていたのは残念でした。巻き戻したりしながら字幕を追ってみていたりしたせいかもですが、いやそれでも『いじょうせいぶつけんぶんろく』のコーナーが消えていたことのショックは大きい。
蟹アニメキャプでいちばん好き
あそこで初めて、いや久々に? 2頭身のキャラの良さ(記憶にある限りヒカリアンが唯一の例だ)(ヒカリアンは1頭身だ)を受け取った感動のままヴィヴィアンのねんどろいどを買うくらいには気に入っていたコーナーだ。今だっておれがアニメを見ているテレビの前に座ってこちらを見ている。
NHK
山尚OP・EDで沸かせた『アン・シャーリー』 。同時期にMXで高畑版の再放送もやっていたんですが、1クール分くらいのビハインドを軽々と追い越す爆速ぶり。これが令和のスピードか……と感心したり、いやこの早さはあまりにも適切ではないとなったり、そもそもの高畑版の見事な仕上がりがあったりでフラットに楽しむのが難しかったです。
高畑版がいかに名作だったか、という話を抜きにすれば、100分で名著のような役割は十分こなしていたと思います。『アンの愛情』までのギルバートとの関係の決着があることはそれなりに大きな意味を持ちますし、男女の友情は成立する?(いやするだろ)なとこは、個人的に貴重でした。
しかし、それだけとも言えました。マリラやマシュウの魅力はほとんど半減し、高畑版のあの見事なナレーションの語りによる支えは影も形も無く、想像力を刺激するグリーンゲイブルズの魅力的な自然は……そんなないものばかりを見つけてしまう、寂しい視聴をした半年間でした。
かなり無法な面白さが出てきた『不滅のあなたへ Season3』 。私たちのよく知る現代とはちょっと違う現代、そこでは不死者の伝説が広く伝わっていて、そして地上のあちこちにその不死者の根が張っています。
そんなわけで、不死のフシを含めていろんなキャラの倫理観がちょっとずつずれている……のですが、このおかしさはもちろん常識の違いから生じているものでありながら、私たちの生きる現代の問題に通じているものでもあるのが見事です。死という概念そのものの尊厳、死の意味といったものが、数百年前の死者を復活させてしまえもするフシの存在により薄れている。そこでおやと思わせながら、やはりリニアな時間の中を生きている人々には「今のまま生きて行けるのか」という不安がある、その先にまだ根強く死の存在感を見ることができます。生あれば死がある当たり前の構造が本作の世界観によりユニークに示されていて、そしてそれは今生きてる私たちの世界にも馴染みのある話なのかもしれない。
VIDEO youtu.be
全然関係ないけど直後にキングダムのOPが流れるのが事故レベルの面白さだった。
VIDEO youtu.be
関係ないついでに話すけどキングダム6期EDが年ベスレベルでよかった。
作りが気に入ったもの
度々話題になる労働環境が改善が試みられていたり、完全内製を目指した制作フローの整備だったり、そこらのこともだんだん注目されるようになりました。個人的にも作り方にはとても興味があるので、アクセスしやすいこの時代はとっても嬉しいです。
個人的に、作られ方を想像することで「内容のどこに力を入れているのか」を探そうとするなど、アニメのみかたが結構大きく変わった2025年でした。
o-zo.hatenablog.com
手びねり組(+鈴木拓郎さん)による『青のオーケストラ』 ではオーケストラという全体と個についての題材を扱いながら、マンモス校を舞台とする青春を描いているのですが、背景素材などの「大きいもの」についての丁寧な仕事で質を担保しているのがタクティクスという意味でも好感が持てます。
荒川眞嗣の素晴らしい絵を、キャラだけじゃなく背景含めたコンセプトごとまるっと仕上げてくれた『トリツカレ男』 は、シンプルに絵の力を信じ抜いた圧倒的フィジカルで「好き」の喜びを歌ってくれるステキなアニメーションでした。
作り方を知っているとめんどくさい部分というのがわかるようになり、そしてめんどくさいところをしっかり取り組んでいるということが分かれば力が入れている場所になんとなく見当がついてきます。それがフィジカルだったりタクティクスだったり、商業の予算の範囲で選ばれるものが変わってくるのが面白いですよね。
さて。
ややウェットに盛りすぎる傾向にある竹下良平監督ですが、『光が死んだ夏』 はその湿り気がダントツでハマっていたと思います。ホラーでBLで……となれば味付けは濃ければ濃いほどいいのでした。
演出育成のような目的もあったようで、その中でも編集に注力していたことに本気度が伺えました。アニメでは完成から逆算した素材集めが要求されがちなので、素材を切って貼ってする工程に重きを置くのは編集という工程そのものが担う重要さ以上の意味を持っていると思います。こういう取り組みをしても演出過多!とならなかったのが100%報われているように感じて嬉しかったですね。
太陽よりも眩しい星
結構長く小林彩監督のファンをやらせてもろてるんで、完全に後方プロデューサー面でみてました。ちゃんと言祝ぐことができる初監督作、めでたいし嬉しいですね。苦しそうなところも見受けられましたが、使えるリソースのなかでやりたいことをしっかり仕上げていただいた印象です。
混線するLINEのやりとり…という表現
穴を塞いでいたボールを神城が指一本であけてしまう。
こういうちょっとしたところの技の多彩さが魅力です。
あと、小林監督といえば「見栄」の話 ですね。
スピード感で言えば18年度版の監督がこだわってたのが、見栄カットの構成です。原作でもこのキャラのこれってポーズ(必殺技だったり、スーパーセーブの瞬間だったり)は他のカットより強調したりすることです。(中略)ここを見てくれ!っていう見栄ですね。(見栄をはる、歌舞伎用語ですね) 繰り返すことで(見る人に)突っかかりと印象付けを残すスポーツもので繰り返される古来よりの手法ですが、翼は随所解説が入るので改めて演出手法を考えると相性が良い気がしてます。
見栄のところではカッコイイポーズでビタっと決めるわけで、そんなに動かせないけどかっこよく魅せたい…みたいなときにとても活躍してくれます。まさしくテレビアニメですね。
そしてそんなテレビアニメのやり方にこだわっているからこその先の技の多彩さでもあると思います。止める、繰り返す、重ねる、などなどなど、手元にある素材を映す時間をさまざまに加工することで面白さを引き出して見せる……テレビアニメファンとしては熱烈に応援したい一人です。
New PANTY & STOCKING with GARTERBELT
カッコよすぎる……神羅万象チョコ感……
の、4話Cパートです。脚本からやってるってのが五十嵐海のファンとしては嬉しいんですよね。ツイッターにあげている絵の台詞とかちょっとした詩とかがかなり好きで、脚本からやったら絶対おもろいはず……!と待ち望んでいたものがクレジットされたことの喜びたるや。
Twitterにあげてる落書きすぎる
まあ中から出てきたのは濃ゆ〜〜いジャック・カービーリスペクトなんですけど。わかんなくてもおもろい。あたりまえですが、元ネタのおもろい部分、お話のハジけ具合や絵の面白さとかを引いてきてるわけですから、おもろくなるんですね。
1期雨宮のTF回みたくおふざけメインかと思いきや、暴れまくったピークのことではキャラの情緒に振り切ってくれる作りは、熱くて乾いたアニメーター五十嵐海の本領ですよ。
ここでちょっとウルっときてしまうのがマジでおもろい
エッジランナーズ2でも脚本回を期待できそうなのが楽しみすぎます。早くみせてくれ……
想星のアクエリオン Myth of Emotions
ロケハンでレイアウトを決め切るというやり方を、この土日の子供向けアニメっぽいビジュアルでやるという……前世パートのディティールが相対的に高めなCGがなくとも「二つの世界」を意識させる作りです。オモロイですね。
しかしそこで想定されていたオモロさが出ていなかったのが辛いところでした。ロケハンで決めきったために固いレイアウトはシンプルにねむたかったですし、そこらへんの細かい面白さを塗りつぶす前世パートとのギャップもあり……面白いかどうかはさておき、かなり変な脚本も魅力的だったので惜しいアニメでした。MXだともめリリと連続して観ることになったのが面白かったです。
そんな実写素材とアニメーションの融合として見事だった『ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト〜』 。ドキュメンタリーとアニメーションの不思議な相性、主観性の磨き方に出てくる独特の真実味みたいなのがあると思うのですが、これもその虚実の振れが魅力的でした。
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途中に出てくる犬とか鳥がかなりぼんやりした、落書きみたいなデザインなのがいいんですよね。過去を振り返るときの、「たしかあの時犬が鳴いてて…」みたいな、どうでもいいディティールのぼんやり具合を表現している感じ。あと音楽も好みだったので、TAAFの映画部門にも入れた一本でした。
インディー作品
『Flow』 、ゲームのシーンムービーぽいな、と予告段階では思ってたんですが、実際映画館でみるとちゃんと映画になっていて驚きました。洪水の圧倒的な迫力……猫の視点になって、というわけではなく、猫と一緒に漂流するというコンセプトとその仕上げ方が見事でした。
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アカデミー賞の長編アニメ賞をとった本作の放映を皮切りに、インディー作品の勢いがまた増した年だったように感じています。色々便利なツールが出てきてハードルが低くなったこともあり、これから物語もやる個人制作作品が増えていく予感がありますね。
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その中でも『無名の人生』 は監督の愛着が、人生が滲みまくりなアツい映画でした。こんだけ気合いの入ったインディー作品は流石に言及しとかないとアニメのオタクをやってる意味がない。
内容もある無口な男の一生を追うというもので、それは最後トンデモSFぽいとこまでいってしまうのだけど、そうやって世界のなかを漂流していくこと、イベントをとにかく乗り越え続けるしかない状況に振り回されることの人生ぽさがうまくハマってくれています。監督の人生、主人公の人生、そして私の人生が重なってくれると映画って感じしますよね。
ジャニーズ騒動に似た事件の顛末を描く2025以前ではその凄惨な状況を飲み込むのにやや手間取り、そしてトンデモSFへと加速していく以後ではブンブン振り回される……という構造をしているので、ちょうど2025年あたりで私のピントが合ったのが地味に感動ポイントでした。狙って構造を組んだのかどうかは分からないんですが、私の人生がこの映画に関係するためには欠かせない要素でした。間違いなく年内でトップレベルで熱のあるアニメです。
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葛飾出身さん、好きなんですよね……葛飾出身さんはイエロー・サブマリンが好きで、それがスタイルの基になってるんだから、そりゃおれも好きなんですよ。2025年は氏の仕事がむちゃくちゃ発表された嬉しい一年でしたが、スカートのこれが一番好きです。
影絵アニメーションのぺらぺらとした頼りなさが、流れや光によりとばされていく。そのどこにもたしかなものが見当たらない感じに乗って鳴るフォークの曲調が能く効きました。イエローサブマリンみたく陽気ではないけれど、自認サブマリナーはよくこういう気分になるから。
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超かっこいいインディーオブインディー、トップインディーです。
セルをのかすときの反射光!
透過光!すばらしく魔術的〜〜〜
最近はインディーと商業の境目がなくなってきているぶん、ダンテレはそのインディー魂という点で際立っていました。アニメへの愛情をアニメとして出力するとアニメになってしまいがちなところがある気がするんですが、制作ドキュメンタリーを作れるくらい「作り方」にこだわっているのがちゃんと本編の目立った出来に繋がっていたと思います。
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放送技術を扱った本編とのリンクが嬉しいですね。設定解説のおまけアニメもあるんですが、設定からもう面白い……本編以外も内容が充実しているので合わせて観て欲しいです。
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これ見たの2026年に入ってからなんですけど、話す機会も無くなりそうなんでここで……かなりハイレベルなミュージカルアニメでした。『笛吹男』をつかって差別というテーマをやるのかなりかっこいいですよね。そして主人公がネズミという……キメのエモーショナルさもあって美しく仕上げられた短編映画でした。
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シュウヒロマツ風のアニメが出てくるたびにシュウヒロマツフォロワーっておるんや〜と驚いてます。人間離れしてるから流行んないと思ってた。
これは個人制作なので輪をかけてすごいですね。異常です。
真・AOTY
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まあ、ちょっと、これはちょっとね……これ以外ないということで……バキバキに僕固有の体験が理由の選出になってしまうのだけど、これもアニメをみるということでしょう。
o-zo.hatenablog.com
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本編の出来も素晴らしいのですが、作られた経緯での加点がちょっと大きすぎるので冷静な評価はできていません。西條の”わがまま”が堀口さんを動かして作られた4分弱、これ以上に俺の心を動かしたものは2025年に存在しません。
西條和が滝川みうに声をあてる最後のレコーディングの様子がすごすぎるんですよね。アフレコブースでの西條と若林監督と藤田さんとのお茶会として行われ、その中で西條の自然な泣きと笑いがサンプリングされる……若林監督の、滝川/西條の重なりを大事に描こうという極まったディレクションです。監督のツイートにある、西條が履いていた赤いパンプスへの言及も映像的な詩性があります。最後の最後まで滝川の繊細な存在が保たれたことは驚異的でした。関わってくださった方々には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
以上!2025年のアニメでした。僕が話すまでもないか……みたいな名作は省いてしまったので飽きたのに飽きたら追記します。